2025年 クロノグラフ大横断:価格帯別 最も代表的な1選

2025年も残すところ僅か。1月のLVMHウォッチウィークを皮切りに、4月のジュネーブ時計祭(Watches and Wonders)、さらにはドバイウォッチウィークなど、今年一年で発表された時計は数知れず。その中でもクロノグラフ(計時時計)は常に人気の高いカテゴリーです。
今年を振り返ってみると、5万円から50万円までの幅広い価格帯で、多くの魅力的なモデルが登場しました。それぞれの価格帯で「これ」という、最も代表的な一台を厳選してご紹介します。
💎 50万円:愛彼(Audemars Piguet) ロイヤルオーク オフショア
1993年の登場以来、2021年のリニューアルを経て、今や愛彼ブランドで最も人気を誇る「オフショア」。高級ホライゾン(腕時計)の中でも特に支持が厚く、その中でも最高峰の存在感を放つのがセラミックモデルです。
今年登場した新型モデル(型番:26420CE.OO.A063VE.01)は、43mmのブラックセラミックケースに、グリーンセラミック製のベゼル、リューズ、ボタンを配しています。裏蓋の縁やボタンガード、バンド留め具などにはチタンが贅沢に使用されています。
文字盤は深みのあるグリーンに最新の「メガタピスリー」(超大判格子模様)が施され、3つのサブダイヤルはブラックの刻度内周と調和。18Kホワイトゴールド製の針とインデックスはシルバーグレーで仕上げられています。
ケース全体はマット仕上げで、ベゼルにはセラミック特有の繊細な光沢感を出すため研ぎ澄まされた仕上げが施されています。裏蓋から見えるCalibre 4401はフライングバック機能を搭載。ゼロリセット機構により、すべての針を瞬時に帰零させることができます。22Kローズゴールド製の自動車(ペ rotor)や、各種の仕上げ(シャンパンヌストライプ、縦目仕上げ、円形磨き、放射状仕上げ、パールネージュなど)はまさに頂点の仕立てです。
🚀 30万円:ロレックス(Rolex) コスモグラフ デイトナ
30万円台の価格帯で、ロレックスのデイトナに勝るクロノグラフは他にありません。特に今回は、ティファニブルーとゴールドケースの頂点モデル(型番:M126518LN-0014)をピックアップ。今年のクロノグラフランキングだけでなく、世界中の時計愛好家が最も注目したモデルの一つです。
ロレックスの文字盤カラーの中でも最も希少な「ティファニブルー(ターコイズブルー)」は、今年デイトナに初めて採用されたことで話題を呼びました。以前はオイスターパーペチュアルやデイトジャストにのみ登場していたこのカラーが、ついに人気No.1のデイトナに。
40mmのクラシックなサイズに18Kイエローゴールドケース。ブラックセラミックベゼルにはゴールドコーティングが施され、針やインデックスも18Kゴールド製です。
ゴールドとティファニブルーの組み合わせは豪華絶倫ですが、ブラックセラミックベゼルとブラックラバーストラップがその視覚的インパクトをうまく中和し、絶妙なバランスを生み出しています。
内部にはロレックス自社製4131型ムーブメントを搭載。72時間の動力貯蔵を持ち、COSC(スイス公式天文台)認定を取得。裏蓋は非透通式ですが、镂空(ロクロ)加工された自動車やブリッジのシャンパンヌストライプなど、質実剛健な仕上げが施されています。
⚡ 20万円:ウブロ(Hublot) BIG BANG UNICO
20万円台でクロノグラフを選ぶなら、ウブロのBIG BANGシリーズは最良の選択肢の一つです。特にブランドを象徴するカラフルなセラミックを採用すれば、世界に一台だけの個性を演出できます。セラミック素材が誕生して25年が経ちましたが、今なおウブロはカラーセラミックの分野で「圧倒的王者」といえるでしょう。
例えば、このミントグリーンのセラミックモデル(型番:441.GS.5221.RX)は、镂空(オープンワーク)デザインでありながら爽やかな印象を与えます。42mmの「サンドイッチ構造」を採用したミントグリーンのセラミックケースは、ラッピング、エッジポリッシュ、サンドブラストなど多重の修飾手法により、高級感と立体感を両立。ケース、ベゼル、裏蓋すべてが同色のセラミックで統一されています。
文字盤はケースと同調したミントグリーン。3時位置には60分計と日付窓、9時位置にはスモールセコンドを配置。外周の分刻み目盛りは正確な計時をサポートします。
文字盤を通して、第2世代UNICOムーブメントや計時機構の駆動部分を一望できます。72時間の動力貯蔵とフライングバック機能を備え、弾性歯車クラッチとデュアル水平クラッチシステムにより、計時針のガタつきを抑える工夫がされています。
🌙 10万円:オメガ(Omega) スピードマスター 双月相 陨石盤
10万円台のオメガ スピードマスター「双月相 陨石盤」(型番:304.30.43.52.06.001)は、価格以上に価値のある一台です。人類初の月面着陸から現在に至るまで、オメガの超霸は名実ともに「ムーンウォッチ」。今回は宇宙から採取した隕石を文字盤に使用し、新機軸とブランド初の南北半球同時表示月相を搭載。その意味、ルックス、性能のいずれをとっても文句なしです。
43mmのステンレススチールケースに、ブルーセラミックベゼルを配し、白いエナメル測速計刻度が特徴です。文字盤は天然の鉄隕石を素材とし、電着彩色工艺により灰色の質感と唯一無二の模様(ワイドマンストライエーション)を表現。中央秒針の先端と9時位置の日付針は赤色陽極酸化アルミニウムで、視認性を高めています。
6時位置の月相は2つの球面型ムーンを配置し、アポロ11号が見た星空を背景に、北半球と南半球の月の満ち欠けを同時に表示します。
内部には手動巻きの9914マニュファクチュールムーブメントを搭載。至臻天文台(Master Chronometer)認定を取得しており、15,000ガウスの強力な磁気に耐え、60時間の動力貯蔵を備えています。ムーブメントの仕上げは、アラビア風シャンパンヌストライプや魚鱗(ぎょりん)模様など、非常に手の込んだ装飾が施されています。
🏎️ 5万円:IWC パイロット チronograph 41特別版
今年の映画界を賑わせた大作といえば『F1™:狂飆飛車』。この映画の影響でF1レースへの関心が世界的に高まり、IWCのマークや、登場人物たちが着用するパイロットやエンジニアシリーズへの注目も集まりました。映画公開に合わせて発表されたこの41mm特別限定モデル(型番:IW388116)は、今年最も熱かったクロノグラフの一つです。
全体のカラーリングは、映画に登場する架空のチーム「APXGP」の黒、金、白をテーマにしています。41mmのステンレススチールケースにブラックダイヤル。分刻み目盛りや針などのディテールにはゴールドコーティングが施され、時計全体を引き締めています。針やインデックスには大面積の白色Super-LumiNova®ルミノバが充填されています。
12時位置に30分計、6時位置にスモールセコンド、9時位置に12時間計を配置。3時位置には曜日窓と日付窓が並び、IWCおなじみのレイアウトです。
裏蓋のサファイアクリスタルガラスにはAPXGPチームのロゴがゴールドで印刷され、ラバーストラップにも同ロゴがレーザーエングレーブされています。内部の自社製69385自動巻きムーブメントは完全ブラックコーティング処理が施され、高級感が増しています。振動数28,800振動/時、46時間の動力貯蔵。やや短めの動貯ではありますが、この価格帯でこの仕様とストーリー性があれば、間違いなく「買い」の一台です。
総括
以上、50万円から5万円まで、2025年においてそれぞれの価格帯で最も代表的な5つのクロノグラフをご紹介しました。年末にあたり、これほど多彩で魅力的な時計たちに囲まれていることに、改めて驚かされます。2026年はどのような驚きが待っているのでしょうか?今から楽しみです。