ウブロからビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチモデルが新登場。

ウブロは37歳のテニスチャンピオン、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)氏とのコラボレーションによるビッグ・バン ウニコを発表した。この限定モデルはグランドスラムでの優勝24回を誇るジョコビッチ氏との共同デザインであり、パリのヴァンドーム広場に面した歴史的な邸宅、ホテル・ドゥブローでお披露目された。世界中のジャーナリストやゲストが集まるなか、この時計はスイスの時計ブランドらしく、午後8時きっかりにカーテンが上がる形でお披露目された。その場ではルイナールのシャンパンが注がれ、華やかなゲストたちがバックボードの前で最高のポーズを披露していた。しかしスポーツウォッチのコラボレーション発表会としては少々豪華すぎると感じられるほどのきらびやかな雰囲気だった。とはいえ、これこそまさにラグジュアリー×スポーツパートナーシップという業界構造の典型なのだ。これについてはまた後日触れることにしよう。

Hublot Big Bang Unico Djokovic
 ウブロはセルビアのテニス界の伝説、ノバク・ジョコビッチ氏とのパートナーシップを3年間続けており、今回の発表は両者にとって初めての限定モデルとなる。この42mmの時計は、ジョコビッチ氏が2023年の記録破りのシーズンで使用したヘッド製ラケットや、ラコステのポロシャツのリサイクル素材をケースとベゼルに採用している。いわば“汗まみれのメモラビリア”の究極形だ。この素材は青い繊維とカーボンの破片が散りばめられた複合素材であり、独特の迷彩模様を生み出している。時計のディテールには、テニスや彼のキャリアをさりげなく称える要素が取り入れられている。ウブロの象徴的な“H”型ネジはテニスボールの形を模したデザインに変更され、黄色いクロノグラフプッシャーはテニスボールの色をほうふつとさせる。さらに秒針と回転ローターには彼のロゴがあしらわれるなど、ジョコビッチ氏へのオマージュが至るところに散りばめられている。

Big Bang Unico
 ビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチは、エラスティックストラップを装備し、わずか49.5gという驚異的な軽さを実現。この軽量化は、従来のサファイアクリスタルに代えて強化ゴリラガラスを使用した点も大きく寄与している。またムーブメント自体も再設計され、主要素材にアルミニウムを採用。同ムーブメントは迷彩柄にマッチするよう、ライトブルーまたはグレーに陽極酸化処理が施され、従来のモデルと比べて27%の軽量化を達成している。さらにアルミニウムはミドルケース、サブベゼル、ベゼルラグ、プッシャー、リューズ、ケースバックを含むさまざまなケースパーツに使用されている。新しいウニコはテニスボールよりも軽いが、11.9gのRM27-05 ラファには及ばない。しかし価格を考えれば、このビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチは723万8000円(税込)で、RM27-05 ラファよりも110万ドル(日本円で約1億7000万円)も安いのだから、それ以上は言わないでおこう。

Dial and Watch Big Bang Unico
 鮮やかなブルーのこの時計には、4種類のストラップが付属している。ウブロのワンクリックシステムで取り付けられるエラスティック素材のスウェットバンド、青いアルミニウム製スポーツバックルを備えたベルクロストラップ、白いラバーストラップ、そしてラコステのストラップだ。確かに723万8000円(税込)という価格は高めだが、安心して欲しい。購入時にはラコステのポロシャツとリストバンドもセットになっている。

我々の考え
このリリースを見て思い出したのは、数週間前に聞いたBusiness of Fashionのポッドキャストだ。そこで話されていたのは、近年、スポーツがファッションブランドとのパートナーシップの豊かな土壌となっているという事実だった。3年前、ディオールとパリ・サンジェルマンの提携は比較的新鮮だったが、今ではサッカー、フォーミュラ1、その他のスポーツに少しも関与していないラグジュアリーブランドを探すほうが難しいほどだ。これらの契約はますます複雑化しており、ブランドがアスリートやチーム、さらにはリーグ全体にわたって、競技場内外で装備を提供することが一般的になりつつある。

Novak Djokovic
 テニスは、1970年代後半にロレックスがグランドスラムのスポンサーを始め、1980年代に(アンドレ・)アガシ氏がエベルと提携した頃から、ブランドパートナーシップの場として成熟してきた(詳細はこちら)。そして今回のウブロの時計については、持続可能性への取り組みや、コート内外で使いやすい軽量素材といった要素がメッセージの中心になるだろう。しかし、この時計を実際に売る力となるのはノバク・ジョコビッチという有名人の存在だ。このコラボレーションは、いまや当たり前となったコラボスタイルのマーケティングを見事に実践している。時計愛好家以外にはまだ比較的知名度が低いウブロにとって、ジョコビッチの名はビッグバン・ウニコを知るきっかけを作る存在となるのだ。

Big Bang Unico Djokovic on wristband
 ウブロはコラボレーションが大好きだ。特に誰もが知る有名アスリートとのスポーツコラボは、時計ブランドの夢の実現とも言える“親しみやすい”タイプのコラボだ。しかしウブロ自体は決して“親しみやすい”ブランドとは言えない。スイス時計界の異端児として知られるウブロは、その派手なスタイルと風変わりなパートナー選び(ネスプレッソ、ダニエル・アーシャム氏、村上 隆氏など)において、自由奔放さを誇示してきた。そんなウブロにしては、このジョコビッチ氏とのコラボレーションはむしろ安全策に思える。さらに掘り下げれば、このコラボはジョコビッチ自身もまたテニス界で“異端児”的な存在であることを考えると、ある意味で適切だ。ただしこの時計自体もどこか無難な印象を受ける。涼しげなブルーの色合いは、このウニコを比較的受け入れやすいものにしている。確かに一般的なクロノグラフと比べれば目立つが、ウブロの通常のコラボモデルに比べれば大人しい仕上がりだろう。この新作は、最近就任したCEOのジュリアン・トルナーレ(Julien Tornare)氏の下で、ウブロが“抑えめ”な方向に舵を切り始めた兆候なのだろうか? それとも“厳しい時代だからこそ、奇抜さを控えるべき”という段階に入ったということだろうか? または最近話題になったAP×KAWSコラボの影響で、今週は何を見ても控えめに見えてしまうだけなのだろうか?

基本情報
ブランド: ウブロ(Hublot)
モデル名: ビッグ・バン ウニコ ノバク・ジョコビッチ(Big Bang Unico Novak Djokovic)
型番: 441.QKB.5120.NR.DJO24

直径: 42mm
厚さ: 14.5mm
ケース素材: マットブルーのリサイクルコンポジット(ノバク・ジョコビッチ氏のポロシャツとラケットを使用)
文字盤: マットスカイブルー
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: テニスリストバンド、ブルーのエラスティックストラップ、ブルーのベルクロファブリックストラップ、ホワイトラバーストラップの4種類が付属

Big Bang Unico movement
ムーブメント情報
キャリバー: HUB1280
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ
直径: 30mm
厚さ: 6.75mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 43

ヴァシュロン・コンスタンタンは、ヒストリーク 222のステンレススティール(SS)モデルを発表した。

この新モデルはオリジナルと同じ絶妙なサイズ感(37mm径、厚さ7.95mm)、同じムーブメント、そしてヴィンテージな意匠をそのままに、よりカジュアルで手ごろな価格のSS仕様となっている。価格は475万2000円(税込)で、文句のつけようがなく素晴らしい。

Vacheron 222 Steel
今年は時計業界において記念すべきアニバーサリーイヤーとなっている。スーパーコピー時計n級品 代引きブランド創立記念から象徴的なモデルの周年まで、さまざまな祝賀行事が連なるであろうことがすでに約束されているのだ。しかしそのなかでもヴァシュロン・コンスタンタンの270周年という歴史的節目は群を抜いている。もちろん今後には華やかなパーティや盛大なイベントが控えているのだろうが、ヴァシュロンはすべてを後回しにし、時計マニアたちが熱望していた注目の新作をなんとプレスリリースひとつで発表するという大胆な手法を選んだのだ。それが、オーヴァーシーズの前身モデルである「ジャンボ」222のSSバージョンである。

2024年の末、幸運にもヴァシュロン・コンスタンタンからこの時計を1日以上にわたって試着する機会をもらった。そのため多数の写真とともに、この時計についての考察をここに記すことができる。ヴァシュロンファンが長年求めていた要素はいくつかあり(たとえば、マット仕上げの文字盤やデュアルタイム機能付きのオーヴァーシーズなどが個人的には強く望むところだ)、そのなかでもSS仕様の222は特に待望されていたモデルだ。そして今回、その期待に見事に応える一品が誕生したと言えるだろう。

Vacheron 222 Steel
ヴァシュロン・コンスタンタンが1977年に発表したオリジナルの222は、同ブランドの222周年を記念して登場した。ヨルグ・イゼック(Jorg Hysek)氏がデザインしたこのモデルは、それまでのヴァシュロンのデザイン言語から大きく逸脱したものであり、いわゆる“ホーリートリニティ”の一角を成すケース一体型モデルとしては最後に発表された。しかしほかのモデルと異なり、222はブランドのカタログに継続して掲載されることはなかった。そのため、2022年にヴァシュロンがヒストリーク 222のイエローゴールド(YG)版を発表した際にも、業界内では特に驚きはなく迎えられた。これは同モデルの45周年を記念したリリースであり、やや中途半端な周年ではあるが、十分に節目として認識される年数だ。ヴィンテージにインスパイアされた復刻版が登場するには適したタイミングだった。しかし時計愛好家たちはこのリリースに興奮しつつも、すぐにSS製のバージョンを求める声を上げた。

1年後、私はヴァシュロンの関係者にSS版のリリースについて尋ねたが、「製品開発は7年周期で行う」という説明を受けた。また、ブランドとしても222の需要がこれほど高いとは予想していなかったため、その時点でSS版の開発計画はまだなかったとのことだった。ただし、そのうち登場するだろうというニュアンスは感じ取れたものの、すぐには期待できないという印象だった。だが実際には、それほど長く待たされることはなかった。

Vacheron 222 Steel
「ジャンボ」222を際立たせている重要な要素のひとつに、極薄のムーブメントにより時計全体が薄型となっている点が挙げられる。37mm径、厚さ7.95mmというサイズ(1977年のオリジナルの7.2mmより、少し厚い)はロイヤル オーク “ジャンボ”(39mm径、厚さ8.1mm)やノーチラス Ref.5711(40mm径、厚さ8.6mm)とは異なるバランスを持つ。そしてこれら3種の現行モデルはいずれもヴィンテージのサイズ感をほぼ忠実に再現しているが、ヒストリーク 222の直径はほかのモデルよりも一層ヴィンテージらしさを感じさせる。

現代において、36mm径や37mm径のケースをフラッグシップモデルに据えるブランドは少ないが、そうした選択が222をより魅力的にする要因となっている。オリジナルモデルからの変更点もいくつかあり(YGのヒストリーク 222でも確認されたように)、ケース一体型ブレスレットのバタフライ式デプロワイヤントクラスプや、シースルーのケースバックがその例である。

Vacheron 222 Steel
この極薄のサイズ感は、装着時の快適さにも寄与している。もちろんYG版の222よりも軽量であり、特にホワイトメタル、具体的にはSS製の時計を好む人(私もそのひとりだ)にとっては、物理的にも心情的にもこちらのほうがしっくりくるだろう。ケースの防水性能は50mであり、より本格的なスポーツウォッチを求めるのであれば、引き続きオーヴァーシーズを選ぶのが賢明だろう。しかしこの時計の魅力は機能性よりも、その雰囲気や身につける楽しさにあると言える。

Vacheron 222 Steel
その他のディテールにおいても、この時計はヴィンテージモデルと見分けがつかないほどの仕上がりとなっている。新品のマットブルーのダイヤルにより少しパンチが効いた印象を受け、傷や磨き痕がないことでシャープな印象を与える。また、フルーテッドベゼルは他ブランドの“ジャンボ”モデルとは一線を画す特徴だ。なお日付窓は、文字盤と色が一致していない(これについては別の記事で詳述する予定だ)。加えて、右下のラグにはヴァシュロン・コンスタンタンのシンボルである金色のマルタ十字が施されている。

Vacheron 222 Steel
ムーブメントはシースルーバックから鑑賞でき、これはYGのモデルと同様だ。ムーブメントには2022年から搭載されているものと同じ、ジュネーブシール認定のヴァシュロン製Cal.2455/2が使われている。このムーブメントは2007年に発表されたCal.2455の進化版だが、正直に言うとやや古さを感じるスペックだ。振動数は2万8800振動/時で、オリジナルモデルの1万9800 振動/時に比べて向上している。パワーリザーブは40時間だが、この点は突出したスペックではない。しかし直径26.2mm×厚さ3.6mmという薄型設計の自動巻きムーブメントは、ヴァシュロンが薄型時計を作るうえで最適な選択であることは間違いないだろう。

Vacheron 222 movement
数日中にはヴァシュロン・コンスタンタンの新作、ヒストリーク 222のHands-Onレビューでさらに詳しくお届けし、YG製の復刻モデルとの比較も行う予定だ。それまでのあいだ、詳細はヴァシュロン・コンスタンタンの公式ウェブサイトをご覧いただきたい。​

Vacheron 222 Steel
基本情報
ブランド: ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)
モデル名: ヒストリーク 222
型番: 4200H/222A-B934

直径: 37mm
厚さ: 7.95mm
ケース素材: SS
文字盤色: ブルー
インデックス: ホワイトゴールド製のインデックスと針
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ケース一体型のSS製

Vacheron 222 Steel
ムーブメント情報
キャリバー: 2455/2
機能: 時・分表示、日付表示
直径: 26.2mm
厚さ: 3.6mm
パワーリザーブ: 40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27
クロノメーター認定: なし
追加情報: ジュネーブ・シール認定

価格 & 発売時期
価格: 475万2000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: 通常モデル、ただしヴァシュロン・コンスタンタンのブティック限定

Y-3(ワイスリー)は、2025年秋冬の新作ユニセックススニーカー「Y-3 A3 コントロール(Y-3 A3 CONTROL)」が新登場。

レトロシルエットのスニーカー「A3 コントロール」
「Y-3 A3 コントロール」66,000円
「Y-3 A3 コントロール」66,000円
2002年に登場した、スーパーコピーのアディダスの「A3 コントロール」。当時の最先端テクノロジーであったA3クッショニングを搭載し、着地時の衝撃を抑え優れた履き心地を実現した1足だ。
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「Y-3 A3 コントロール」66,000円
「Y-3 A3 コントロール」66,000円
「Y-3 A3 コントロール」は、Y-3の視点を通して復刻したモデル。2025年秋冬は、落ち着いたオフホワイトをメインにブラックを組み合わせたモノトーンと、ブラックにレッドを加えた2色を展開する。

シルエットは、これまで同様レトロな見た目を継承。アッパーには上質なレザーとスエードを用いた。また、ヒールにはY-3のロゴを刺繍を、シュータンにはシルバーのリフレクターを施すなど、細かな部分にまでこだわりを詰め込んでいる。

【詳細】
「Y-3 A3 コントロール」66,000円
発売日:2025年7月15日(火)~順次発売予定
販売店舗:Y-3直営店、指定の小売店、公式オンラインストア、ゾゾタウン
サイズ:22.5~29.5cm

【問い合わせ先】
アディダス ファッション グループ ショールーム
TEL:03-5547-6501

ハンドメイド2は、270パーツのうち96%が完全に手づくりされた時計である。

ケース、ムーブメント、プレート、ブリッジは原材料から切り出し、すべて手作業で仕上げられ、下の写真のような時計ができるまで繰り返し改良される。ベン(・クライマー)がプレスリリースをチームに転送したときに言ったように、これは“真のウォッチメイキングのファンにとって大きな出来事”である。ここで言う真のウォッチメイキングとは、CNCやそのほかの機械がウォッチメイキングの芸術をさまざまな工業的工程に変えてしまう前、ずっと昔に用いられていたであろう方法で行われるものを意味する。このような挑戦のため、この時計は年に2~3本しかつくることができない。

ここで、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏とそのご友人たちにとって大事な日であることを茶化してみよう。それは、最近ザッカーバーグ氏がこの時計の前身である2019年発表の90万ドル(日本円で約1億4000万円)のハンドメイド1を着用しているところを目撃されたからでもあるし、62万スイスフラン(日本円で約1億700万円)という価格で、彼並みの予算をかける“本物志向の時計愛好家”がほんのひと握りしかいないからでもある。しかしこの時計の顧客は少なくとも8人はいる。発表されたばかりにもかかわらず、グルーベル・フォルセイによればすでに2027年の大半まで割り当て済みであるという。

グルーベル・フォルセイ ハンドメイド2は美しい。信じられないほど素晴らしい。グルーベル・フォルセイで手づくりされていない部品は、サファイアクリスタル、パッキン、バネ棒、ゼンマイ、そして石の、計5種類だけだ。

サテン仕上げ、ブラックポリッシュ、ストレートグレイン、ポリッシュされた側面、面取りといった5つの職人技は圧巻だ。それに加えてゴールドシャトンにセットされた、オリーブ型の石がアクセントを添える、ポリッシュ仕上げの面取りも見事である。しかしこうした仕上げには、レジェップ・レジェピ、フィリップ・デュフォー、ロジャー・スミスといったブランドで慣れてしまっている(恐ろしいことに、みんなそれを当然のように期待している)。だからこそ、なぜこの時計がロジャー・スミスの2倍以上、レジェップ・レジェピの4倍以上もするのか、多くの人には理解できないだろう。私自身、これがハンドメイドであることを自分に言い聞かせなければならなかった。そこにCNCマシンはなく、治具、のこぎり、針金、研磨剤、その他の手工具があるだけなのだ。

スミス氏のような人がCNCを使うのは悪いことではない。彼が過去に言っていたように、それは精度のためであって、必ずしも大量生産のためではない。ブリッジを大まかに成形する作業を減らし、最終的な完成に近づける。時計をつくろうと思い立ったところで、何十種類ものネジをつくるために12工程を超える作業をしたい人などほとんどいない。歯車やテンプは通常、切削やプレス加工で製造されるが、ここでは違う。しかし数十万ドルを節約するか、CNCマシンが関与していないものを選ぶかは個人的な判断となる。

ハンドメイド1を参考にすると、この時計製作にかかる時間の4分の3は部品の製造に費やされ、残りが仕上げに費やされる。簡単に聞こえるかもしれないが、ハンドメイド1の完成には8000時間以上かかる。ハンドメイド2の製作時間はもう少し短い可能性はあるが大差ないだろう。結局、ひとりの時計師が最初から最後まで組み立てるのだから。

技術的な仕様がないことにお気づきかもしれないが、その理由のひとつはグルーベル・フォルセイがプレスリリースで精度やサイズ(40.9mmで、のちに厚さは12.8mmだと聞いた)、コストよりも時計の芸術性に焦点を当てることにしたためである。また、トゥールビヨンはすでにハンドメイド1で実現しているため、今回のリリースではそこは追求しないことにしたという。代わりに約72時間のパワーリザーブを備えた4針のとし、手作業で成形された円錐形ジュエルパワーリザーブという革新的な機構を採用した。

この円錐形ジュエルは実に素晴らしく、フュゼ・チェーン機構を思わせるパワーリザーブ表示の独創的なアプローチである。グルーベル・フォルセイはほかの多くの技術的な詳細と同様、このシステムの仕組みについて多くの情報を提供していないが、どのように機能するのかちょっと推測してみようと思う。

円錐形のジュエルは単なる斜面ではなく、段階的に溝とテーパーが付けられているように見える。駆動系のどこかで歯車が宝石を回転させ、その回転を(レコード盤を読むスタイラスのように)上下に動く宝石の付いたアームが”読み取り”、パワーリザーブ表示に反映させるのである。ただし、どうして“スタイラス”が垂直に動くのか、その一方でそれに取り付けられたアームが水平にしか動かないのか、私にはよくわからない(もっと目のいい人がいたら考察を教えてもらいたい)。香箱が巻き上げられるときは、このシステムは逆方向に動く。

時計の裏蓋はハンドメイド1よりも少し簡素化されており、ブラックポリッシュ仕上げのアームや地板の裏側の(引っかいたような)グラッテ模様は省かれている。その代わりに、複雑なカットが施された美しくシンプルな半円形の窓からちょうど駆動系の歯車がいくつか見え、製造年とブランド名を示す2枚のプレートが配されている。地板の残りの部分は時計の前面と同様、手作業でグレイン仕上げが施されたジャーマンシルバーである。

ケースとリューズは手作業で製造されており、18Kホワイトゴールドの塊から削り出されている。厚さは12.8mmと特別薄いわけではないが着用に難はなく、つけ心地はとてもよい。市場で最もエレガントで独創的なケースというわけではないが、グルーベル・フォルセイによれば手作業で製造するにはこのようなシンプルなケースが限界なのだという。そこが気になる顧客もいるかもしれない。

ある友人(この件を公表する許可は得ている)は、ナノ・フドロワイアントEWTに関するフィードバックと同様、ハンドメイド2がグルーベル・フォルセイの真髄を表しているとは思えないと私に言った。さらに加えるなら、この手のオープンダイヤル的雰囲気を用いているデザインは、テオ・オフレをはじめとする独立系時計メーカーでも見られる。ほかのグルーベルのデザイン言語のほうが、市場のほかの製品との差別化において優れていると言えるだろう。

もうひとつ建設的な批評があるとすれば、パワーリザーブインジケーターのフォントとスモールセコンドの目盛りの太さが、全体のエレガンスとやや調和を欠いているように感じられることだ。グラン・フー エナメルもまた、洗練された芸術性をもたらす素晴らしいものだが、私には少し洗練さが欠けるように感じられた。

昨年ジュネーブで見たプロトタイプは、コレクターが期待し、好むジャーマンシルバー特有の経年変化をすでに見せ始めていた。ブランドから提供された画像では文字盤ははっきりと銀色だが、私が撮影した画像ではほのかに黄色く見える。新品が温かい色合いになるのにそう時間はかからないであろうことがうかがえる。

このような時計について、ほかになにか言葉にすることがあるだろうか。グルーベル・フォルセイの工房に足を運び、組み立てるために彼らがどのような作業をしているのか見てみたいと思わせるような時計だ。ハンドメイド1は実際に見ることはできなかったので、もしハンドメイド2がそれに触れる最も近い機会だとしたらそれだけでも十分ありがたいと思う。

グルーベル・フォルセイがこの時計を顧客に見せはじめてからしばらく経つ。年に2~3本しかつくれないため、すでに注文が殺到している。先述したように、すでに2025年と2026年の生産分は売り切れているが、62万スイスフラン(日本円で約1億700万円)の資金を使いたくてウズウズしているようであれば、2027年の割り当て分の入手に挑戦することは可能だ。この価格帯で探しているなら、2年待つ価値は十分にある時計と言えそうだ。

グルーベル・フォルセイ ハンドメイド2。直径40.9mm、厚さ12.8mmの18Kホワイトゴールドケース、30m防水。ハンドフロスト仕上げのジャーマンシルバー文字盤にグラン・フー・エナメルのインダイヤル、ハンドカット&ハンドブルー仕上げの青焼き針(時・分・秒表示、パワーリザーブ)。全工程においてひとりの時計師が伝統的な技法を用いた完全ハンドメイドのムーブメント(ジュエルを除く)。パワーリザーブ約72時間。年に2~3本のみ製造。

オメガの歴史的に重要なRef.2998の2012年復刻版をどれほど気に入っているか、

ウォルター・シラー(Walter Schirra)が1962年にシグマ7の飛行で着用したモデルだ。どうしてもオメガに返却する気になれなかったので、この記事を掲載した数日後に自分用の1本を購入した。この時計はお気に入りとしてすぐに私のコレクションに定着し、2016年にはその年の“最も身につけた時計”のタイトルを獲得した。2017年も半分が過ぎようとするなかそのタイトルは維持されそうなばかりか、むしろ腕につけている時間が長ければ長いほどありがたみが増していくようだ。Ref.2998の純粋な復刻版としてだけでなく、スピードマスターシリーズの最高の特徴をすべて備えたモデルとして楽しんでいる。

オメガ スピードマスター ファースト オメガ イン スペース セドナ™ゴールド

皆に愛される“FOIS(ファースト オメガ イン スペース)”のモデルであるセドナ™ゴールドのファースト オメガ イン スペースに対して、常に少し複雑な思いを抱いてきた。この時計は間違いなく豪華で、私のFOISのデラックス版である。しかし私はこれをスピードマスターから大きく逸脱したものだと常々思ってきたし、この逸脱がうれしいとは言い難い。2015年にこの時計が発表されたとき、スピードマスター愛好家のほとんどはこの時計を歓迎し、何人かはその魅力を私に伝えようと懸命に説得したが、いくつかの理由から私はその声に耳を貸すことができなかった。

第一に、1960年代のほとんどすべてのクロノグラフに対するスピードマスターの最高、最大の特徴は、その統一されたブラックダイヤルである。パンダの配色は魅力的であり、セドナ™ゴールドエディションのオパライン文字盤とブラウンのインダイヤルは特にうまくいっているが、オメガは敵の領域に侵入しているような感じもする。セドナ™ゴールドエディションを実際に手にしてわかったことは、20年前に別のモデルがこの前例を作ったということだ。

第二に、おそらくもっと重要なことだが、私はスピードマスターを貴金属にすることは少々ブルジョア的な動きだといつも感じていた。スピードマスターは手ごろな価格のスポーツウォッチだった(私は今もそうだと思う)し、間違いなくデイリーユースの時計だった。1万8000ドル(当時の日本円定価は税込198万円)のセドナ™ゴールドエディションは、オメガの顧客層の一部にとっては変わらず手ごろな価格だろうが、スピードマスターの精神に則っているとは思えない。

しかし、最近この時計と充実した時間を過ごす機会を得たことで、私の論点のいくつかは再考を迫られたと言わざるを得ない。

パンダ文字盤のスピードマスター。これに文句をつける理由があるだろうか?

セドナ™ゴールド FOISの実物を見てすぐに、その豪華な美しさに衝撃を受けた。私の時計とは似ても似つかないが、なんとも美麗だ。数年前から時計の写真を撮っていて気づいたのだが、見栄えのいい時計ほど撮影がしやすい。写真を見てもらえればわかることだろう。目の保養と呼ぶべき時計があるとすれば、この時計のことだ。

スピードマスターの存在意義に目をつむれば、この時計が相当カッコいいことは認めざるを得ない。

これはFOISのエディションのひとつ(オメガは昨年別のパンダ文字盤を発表したが、こちらはブルーとホワイトでステンレススティール製ケース)だが、私が持っているものとは似ても似つかない。親しみを感じるが、視覚、触覚的にまったく新しい体験を提供してくれる。

この新しい文字盤を無視するのは難しいが、ここに見られる要素はすべてオリジナルのFOISと同じだ(これにはもっとたくさんゴールドが使われているが)。

あまりに見た目が異なるため、このふたつの時計に共通点があることを忘れてしまいがちだ。ケースの大きさ(39.7mm)、90以上のドットが付いた外付けのタキメータースケール、時・分針のアルファ針、インダイヤルのバトン針などオメガはそのすべてをそのまま温存しているし、機械的な面でも目新しいものは何もない。どちらの時計も、ウォルター・シラーの時計に搭載されていたものとは異なるレマニアをベースとしたCal.1861を用いている。このムーブメントはオメガが1968年から使用しているものをベースにしている。

しかし今回の変更はかなり重要だ。オメガはゴールドを使用することにしたわけだが、それもただのゴールドではなく、レッドゴールドとピンクゴールドの中間のような温かみのある色調を実現するために、ゴールド、銅、パラジウムを組み合わせたユニークで独自のものを選んだ。それを引き立てるためにオメガはブラウンのセラミック製ベゼルを生み出したのだが、これもまた真っ黒なセラミックよりも豊かなニュアンスを生み出している。

そしてゴールドであるがゆえに、その特徴的な外観に加えて、この時計の最も慣れない特徴のひとつは重さである。予想されるとおり、セドナ™ゴールドバージョンは手首にずっしりと重く感じられる。これはスピードマスターのオーナーの多くが慣れ親しんでいるものではないだろう。スピードマスターの大部分(多くのバリエーションがあるわけだが)はSS製であり、古典的なモデルのいずれかを着用したことがある人なら、大体どのモデルも似たようなつけ心地だ(プレムーンとムーンウォッチのケースを比較すると若干の違いはあるが、一般的に、どの通常サイズのスピードマスターも同じような着用感だ)。

結婚指輪が伝統的なイエローゴールドとオメガ特有のセドナ™ゴールドのいい比較対象になっている。

オリジナルのFOISと、このゴールドエディションを直接的に比較することはできないが、私がこの現行バージョンに無くて寂しいと思う特徴のひとつは、時を告げる機能とクロノグラフの明確な区別である。私はこのポリッシュ仕上げされたSSとペイントされたバトン針による区別の表現は素晴らしいと思っていた。セドナ™ゴールドバージョンでは、すべての針(と植字されたロゴ)がゴールドである。もちろん、ゴールドの針と白いバトンのコントラストは、あまりに鮮明すぎかもしれない。

日本市場向けのゴールデンパンダ。Photo: Kirill Yuzh and Omega Forums

オリジナルのFOISとセドナ™ゴールドエディションで興味深いのは、前者がウォルター・シラーのRef.2998の特徴を懸命に再現しようとしているのに対し、後者はその逆方向へ自信を持って一歩を踏み出していることだ。しかし、オメガがゴールドのパンダ文字盤を持つスピードマスターに挑戦するのはこれが初めてではない。日本のコレクターは伝説のゴールデンパンダを覚えている人もいるだろう。1997年に発表された伝統的な白黒パンダダイヤルのYG製ムーンウォッチの40本限定モデルだ。正直なところ、よりソフトなセドナ™ゴールドとブラウンのベゼルおよびインダイヤルを備えた新エディションのほうが、ゴールデンパンダよりもはるかに好みだ。しかしこの時計がスピードマスターの歴史のなかでどのような位置付けにあるかを理解することは重要である。

この時計はシーホースのメダリオンと“The First Omega In Space”、“October 3, 1962”という文言が彫られたソリッドケースバックを備えている。

では、セドナ™ゴールド FOISはどんな人に向いているのだろうか。ヘリテージモデルを何本か持っていて、もうちょっと華やかなものが欲しいというスピードマスター愛好家なのか(この時計はその点では満足できる)。それともそのストーリーにはあまり興味がなく、デザインが新しくてもそうでなくても、ただ見栄えのする時計が欲しいという人なのか。本当のところはわからないが、この時計としばらく過ごしてみて確かなのは、このあまりにスピードマスターらしからぬゴールドのスピードマスターに、1万8000ドル(当時の日本円定価は税込198万円)出すような人間になりたいということだ。