新しく生まれ変わったヴィンテージCal.135、そして160年にわたるゼニスの精度追求。

2025で、創業160周年を迎えるゼニスがG.F.J.を発表した。これはかつてのタイムオンリームーブメントであるCal.135クロノメーターに、現代的な解釈を加えたモデルである。もしブランドの歴史に詳しいなら、文字盤上の3文字とシンプルなモデル名の意味はすぐに理解できるだろう。ジョルジュ・ファーブル=ジャコ(Georges Favre-Jacot)を知らなければ少々首をかしげるかもしれないが、それでもまったく問題はない。要するにこの名前はゼニスの歴史、すなわちエル・プリメロ誕生以前の時代に深く根ざした姿勢を示しているのである。

2022年、ゼニスはカリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏と協力し、復元されたヴィンテージのCal.135-Oを搭載した10本限定の時計を製作した。当時のこれらに搭載されたムーブメントは、1950年代初頭にニューシャテル天文台コンクールに実際に出品された個体である。多くのコレクターは、このきわめて生産数の少ない限定モデルを、ここ数十年で最良のタイムオンリーゼニスと見なしている。38mmのプラチナケース、コンブレマイン製のギヨシェダイヤル、そしてヴティライネンによる手仕上げのムーブメントを備えたこのリリースは大きな成功を収め、ゼニスのクロノメーターヘリテージを時計界に強く印象づけた。

今回発表されたG.F.J.において、ゼニススーパーコピー代引き 激安は2022年の限定コラボレーションをさらに発展させた。このストーリーは完成した時計そのものと同様に、ムーブメントにも深く関わる内容である。

1945年、ゼニスの技術部長であったチャールズ・ジーグラー(Charles Ziegler)は、エフレム・ジョバン(Ephrem Jobin)という時計師に、天文台コンクールの頂点を目指せるクロノメータームーブメントの開発を命じた。ジョバンは、独自の輪列配置を採用した13リーニュのCal.135を設計した。オフセンターに配置されたミニッツホイールによって、大型のバイメタル切りテンプ、“ギョームテンプ”(ブレゲひげゼンマイ付き)と大径の香箱が搭載可能となり、等時性と精度が向上した。最終的に、この“プレミアム”仕様であるCal.135-Oは天文台クロノメーターコンクールにおいて230以上の部門別最優秀賞を獲得。時計史上、最も多くの受賞歴を誇るムーブメントとなった。

“ノーマル”バージョンであるCal.135は、1948年から1962年にかけて約1万1000個が製造された。基本的には、Cal.135-Oと同一のムーブメントである。天文台コンクール用にはゼニスの精鋭時計師であるシャルル・フレック(Charles Fleck)やルネ・ギガックス(René Gygax)らが、Cal.135のなかから優秀な個体を厳選し、調整・レギュレーションを施すことでCal.135-Oへと仕立て上げたのである。

2025年に登場する新作G.F.J.において、ゼニスは1962年以来初めてこの伝説的キャリバーを製造することとなった。新Cal.135は、オリジナルの設計とサイズ(直径13リーニュ、厚さ5mm)を忠実に踏襲しつつ、ごくわずかに再設計が施されている。1万8000振動/時(2.5Hz)で駆動する手巻きムーブメントは、オリジナルの約40時間に対して約72時間のパワーリザーブを実現。トップセコンド機構を備えつつCOSC認定を取得しているが、実際にはCOSC基準を大きく上回り、日差±2秒以内の高精度を誇る。ムーブメントの受けには、ル・ロックルにあるゼニス本社の赤と白のレンガ造りのファサードをモチーフとした、特徴的な“ブリック”ギヨシェスタイルで飾られている。

G.F.J.は直径39.15mm、厚さ10.5mm、ラグからラグまでが45.75mmのプラチナケースに収められており、程よいサイズ感を備えた現代的な時計である。サイズこそ現代的だが、段差のついたベゼルやラグにはヴィンテージから着想を得たディテールが随所に見られる。

A Zenith GFJ dial macro
文字盤中央にはゴールドのパイライト(黄鉄鉱)を自然にちりばめた、深いブルーのラピスラズリが配されている。アウターリングにはムーブメントと同様、“ブリック”ギヨシェ模様が施され、6時位置に配された大型のスモールセコンドはマザー・オブ・パール製で、豊かな質感とコントラストを生み出している。面取りされたホワイトゴールド製のアワーマーカーと、40個のホワイトゴールド製ビーズによるミニッツトラックはすべて手作業で植字され、スリムなWG製の針が全体のデザインを引き締めている。

G.F.J.は160本限定で、価格は695万2000円(税込)。ゼニスブティックおよび正規販売店限定で、現在予約注文を受け付けている。

我々の考え
ヴィンテージ愛好家であり、Cal.135のファンとしてはどうしてもこのムーブメントにばかり目がいってしまう。何十年も前のムーブメントを復活させることは決して容易なことではない。多くの場合、当時の製造用工具は失われ、キャリバーに精通した時計師たちもすでに現役ではない。ブランドはこうした状況のなかゼロから開発を始めなければならず、そのR&D(研究開発)コストは莫大なものとなる。そうした事情を理解したうえで、ゼニスが最も歴史的に重要なタイムオンリーキャリバーを正統な形で蘇らせたことに、心から敬意を表したい。

A Zenith GFJ
時計自体の仕上がりも素晴らしい。明らかにG.F.J.は、内部に搭載されたムーブメントに最大限の注目を集めるためにつくられたプレミアムな製品である。もしゼニスが、よりシンプルで手ごろな価格のステンレススティール製でこの“新しい”キャリバーを発表していたなら、ほかのWatches & Wondersモデルに埋もれてしまったかもしれない。そうした仮想的なバージョンのほうが、より幅広い時計愛好家にとって商業的には魅力的だった可能性はある。しかし、今回ゼニスが選んだアプローチには大きな意味があると感じる。

G.F.J.は、いわば“ハローモデル”である。最終的に購入することになる160人のコレクターは、間違いなく大いに満足するだろう。そして残るゼニス愛好家やゼニスに興味を持つ者たちは、次の機会を待つことになる。ブランドが60年以上の時を経てムーブメントを復活させるのは、160本を製作して終わるためではない。Cal.135を搭載した新たなモデルが今後登場する可能性は高い。もし、ゼニスの現代Cal.135の第1弾かつ最も強いインパクトを放つバージョンを手に入れたいなら、このモデルこそがまさにそれだ。G.F.J.は細部まで緻密につくり込まれており、ダイヤルも実に美しい。

基本情報
ブランド: ゼニス(Zenith)
モデル名: G.F.J.
型番: 40.1865.0135/51.C200

直径: 39.15mm
厚さ: 10.5mm
ラグからラグまで: 45.75mm
ケース素材: プラチナ950
文字盤: 外周にブルーブリックギヨシェ、中央にラピスラズリ、スモールセコンドカウンターにマザー・オブ・パール
インデックス: ホワイトゴールド製アプライドアワーマーカーおよびドットミニッツマーカー
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ダークブルーアリゲーターレザーストラップ(プラチナ製ピンバックル)、ブラックカーフスキンレザー、ブルー“サフィアーノ”カーフスキンレザー付属

ロレックス ここ数十年で最も重要な新作モデルかもしれない。Cal.7135を搭載。

エイプリルフールではない。ロレックス ランドドゥエラーが本当に登場したのだ。近年のロレックスにおける最も意義深いリリースのひとつと言えるかもしれない。スイス屈指のブランドが誇る製造技術と工業的な専門性を明確に示すこのモデルは、ヴィンテージデザインの要素を取り入れながらも、最大の特徴はダイナパルス エスケープメントにある。この脱進機は、ロレックスが独自に開発・特許を取得し、工業的に最適化したダイレクトインパルス型の脱進機であり、デュアル・シリコンホイールを採用。搭載されるCal.7135は、ロレックスとしては初となる機械式高振動ムーブメントである。ケースは新設計のスティール製で、1970年代のRef.1530やオイスタークォーツモデルを想起させるが、デイトジャストと比べて20%も薄型だ。このモデルによりロレックスは、一体型ブレスレットを備えたスポーツウォッチの分野へと再び本格的に参入し、数々の技術的“初”を実現したムーブメントによって、高精度を追求する歩みをさらに前進させたのである。

ロレックスが特許を出願したり商標登録を申請したりするたびに、ネットの一角はざわつき始める。2023年7月28日、ランドドゥエラー(そしてコーストドゥエラー)という名称がロレックスUSAによって商標登録された。その直後、時計好きたちがSNSでこの情報を拡散。投稿にリール、ショート動画、TikTokなど、あらゆる形で話題が広がり、絵文字も飛び交った。だが数日もすれば熱は冷め、話は自然と立ち消えに。そして今日、ロレックスはあの2023年夏の静かな商標登録をついに現実のものとしたのである。

ヴィンテージロレックスに目がない人なら、このケース形状と一体型ブレスレットにはきっと見覚えがあるはずだ。通称オイスタークォーツデザインと呼ばれるこのスタイルは、1975年に登場した機械式デイトジャスト、Ref.1530で初めて採用された。まさに今から50年前のことだ。その後、1977年にオイスタークォーツの後継モデルとしてRef.17000(デイトジャスト)と19018(デイデイト)が登場し、このデザインが広く知られるようになった。それゆえ“オイスタークォーツ”の名が定着したというわけだ。

ロレックス デイトジャスト Ref.1530(1975年)

ロレックス デイトジャスト オイスタークォーツ Ref.17013(1977年)

2025年の新作ランドドゥエラーは、誕生から50年を迎えたRef.1530のケースデザインを、わずかにプロポーションを調整しながら復活させたモデルである。ケース径は36mmまたは40mm、厚さは9.7mmで、スタンダードなデイトジャスト41と比べて2.3mmも薄型となっている。 多くのヴィンテージモデルに見られる特徴的な5列のフラットジュビリーブレスレットも、ランドドゥエラーのためにアップデートされた。なかでも注目すべきは、クラウンクラスプの採用だ。これはロレックスが隠しクラスプと呼ぶ仕様で、王冠型の引き手が特徴となっており、2018年以降のデイトジャスト36および41 ジュビリーブレスレットでは採用されていないディテールである。 ケース素材のバリエーションとしては、ホワイトゴールドのフルーテッドベゼルを備えたスティールモデル、バゲットダイヤ付きまたはなしのエバーローズゴールドモデル、そして同じくバゲットダイヤの有無を選べるプラチナモデルがラインナップされている。

ダイヤルに目を向けると、ランドドゥエラーは既存のロレックス各モデルの要素を組み合わせたデザインとなっており、全体としてはデイトジャストを思わせる雰囲気を持っている。ただし、そこに新たなハニカムモチーフの装飾が施されており、エクスプローラーコレクションを彷彿とさせるアプライドの方位インデックスも採用。また、日付を拡大表示するサイクロップレンズもクリスタル上に備えられている。

裏蓋にはシースルーバックが採用されている。その理由は、これから明らかになる。

ロレックス ダイナパルス エスケープメント
ランドドゥエラーには、ロレックスが新たに開発し特許を取得したダイレクトインパルス型の脱進機が搭載されており、これをダイナパルス エスケープメントと名付けている。この脱進機のアイデア自体は18世紀中頃から後半、ピエール・ル・ロワやジョン・アーノルド、トーマス・アーンショウといった時計師たちによって生まれたもので、その後も数多くの名匠たちの手で改良が重ねられてきた。そして今、ロレックスはこの何世紀にもわたる歴史を持ち、理論的には優れているとされる脱進機構に独自のアプローチを加え、現代的な解釈として完成させたのである。

スイスレバー脱進機

実際のところ、現在の時計においてはレバー脱進機が主流である。機械式時計を持っているなら、その多くがこのレバー方式を採用していると考えて間違いない。セイコー5から、これまでに作られたすべてのロレックスに至るまで例外ではない。ロレックスは2015年に、独自開発のレバー脱進機であるクロナジー エスケープメントを発表している。クロナジーのように幾何学的に最適化された設計であっても、レバー脱進機には構造上避けられない弱点がいくつか存在する。なかでも最大の問題は、レバーが本質的に持つ摩擦であり、それゆえに潤滑が必要になる点だ。実際にレバー脱進機の動作を観察すると、ガンギ車の歯とルビー製のパレットとのあいだに摩擦が生じているのが一目瞭然である。歯が石の上を擦っているのだ。2万8800振動/時(4Hz)の時計では、この接触が1秒間に8回、年間で2億5228万8000回も発生する。この摩擦を抑えるためにオイルが使われており、だからこそ数年ごとにオーバーホールが必要になるのである。

ロレックス クロナジー エスケープメント

ダイレクトインパルス エスケープメントには、こうした“擦れる”動きが一切ない。というのも、動力、つまりインパルスが、名前のとおりガンギ車からテンプへ直接伝達されるからである。この構造により、オーバーホールの間隔が長くなるだけでなく、レバー脱進機と比べて効率が高く、経時的にも安定した歩度が得られる。つまり、より高精度な時計を実現できるというわけだ。 なお、ナチュラル脱進機、デテント(またはクロノメーター)脱進機、コーアクシャル脱進機などは、いずれもダイレクトインパルス型の脱進機に分類される。

では、もしこのタイプの脱進機が技術的に優れているのであれば、なぜすべての時計に使われていないのか? その答えはシンプルで、完璧なものは存在しないということ。時計づくりにおいても、それは例外ではなく、ダイレクトインパルス エスケープメントも決して万能ではない。この脱進機が腕時計に採用されにくい最大の理由は、耐衝撃性の低さにある。レバー脱進機におけるレバー=パレットフォークのような構造に依存しないため、ガンギ車がアンロック(脱調)しやすいという欠点があるのだ。アンロックとは、外部からの衝撃などでガンギ車が本来のタイミングからズレてしまう状態のこと。レバー脱進機の場合、ガンギ車は常にパレットフォークと噛み合っており、完全に自由になる瞬間がない。一方、ダイレクトインパルス エスケープメントでは、サイクル中のごくわずかなあいだだけガンギ車が“フリー”の状態になる。この瞬間に衝撃が加われば…はい、アウト。時計は故障するというわけだ。

オメガ コーアクシャル 脱進機(1999年)

こうしたダイレクトインパルス エスケープメントが技術的課題を克服してきた例も、過去には存在する。ただしその多くは、最初は極めて小規模かつ手作業による製造で実現され、その後に量産体制向けに改良されてきた。この代表的な例が、ジョージ・ダニエルズが発明し、オメガが広めたコーアクシャル エスケープメントである。ダニエルズはこの機構を1974年に特許取得し、その後25年以上にわたって完成度を高め、1999年にオメガが量産化。その際に使われたのが、ETA 2892をベースに改良されたCal.2500だった。ダニエルズ版(現在もロジャー・スミスが使用)はふたつのガンギ車を備える設計だが、オメガは量産化に向けて設計を変更し、ひとつのガンギ車で構成される方式に仕立てた。コーアクシャル エスケープメントは、レバー脱進機とデテント脱進機の長所を融合させた構造ともいえ、ダイレクトインパルス型脱進機の成功例として広く知られている。

ユリス・ナルダン フリーク(2001年) ダイレクトインパルス エスケープメント搭載

ユリス・ナルダンが2001年に発表したフリークは、もっとも現代的なダイレクトインパルス エスケープメントを搭載したモデルとして知られている。同一平面上に並列配置されたふたつのシリコン製ガンギ車を用いた構造は、今回ロレックスが採用したものと非常に近いアーキテクチャを持っている。 このフリークによって、時計業界はロレックスのダイナパルス エスケープメントに通じる方向性へと一歩踏み出すことになったが、ひとつ注目すべき点がある。それは、このダイレクトインパルス型のフリークはこれまでに数千本しか生産されておらず、近年ではユリス・ナルダンもこの特定の脱進機から距離を置きつつあるということだ。

現代におけるもうひとつの脱進機の進化として挙げられるのが、ジラール・ペルゴのコンスタント エスケープメントである。2013年に発表されたこの機構は、中間機構であるシリコン製のブレードによって実現された真のコンスタントフォース機構である。興味深いのは、この発想の原点がロレックスにあったという点だ。1997年、当時ロレックスに在籍していたニコラ・デオンが、フレキシブルなブレードでテンプに一定のエネルギーを供給するアイデアを追求していたのである。このプロジェクトは社内で“Project E.L.F.”というコードネームで呼ばれていた。2002年にデオンはジラール・ペルゴへと移籍し、そこでこのコンセプトがついに実現されることとなった。つまり、ロレックスは1990年代後半の時点で、すでにシリコン素材を用いた先進的な実験を行っていた可能性があるのだ。

ジラール・ペルゴ コンスタント エスケープメント(2013年)

卓越した自社一貫製造体制、そして他に類を見ない研究開発予算を誇るロレックスは、ダイレクトインパルス エスケープメントの課題をまったく異なるアプローチで解決したように見える。しかも、いきなり工業的な量産レベルでそれを成し遂げたのである。

コーアクシャルのように、これまでの多くのダイレクトインパルス エスケープメントの試みがデテント脱進機から着想を得てきたのに対し、ロレックスは自社のシリコン部品製造技術と長年の研究成果を結集し、ナチュラル エスケープメントを進化させるかたちで、まったく新しい脱進機構を生み出した。複雑なパレットフォーク機構に頼るのではなく、ふたつの平面上に配置されたガンギ車が、正確に噛み合いながら効率よくロックするという構造を、数式レベルで完成させたのだ。ロレックスはその精緻な理論と製造力によって、脱進機の設計に新たな地平を切り拓いたのである。

ロレックス ダイナパルス エスケープメント(2025年))

ロレックスは、DRIE(深反応性イオンエッチング)技術を用いてガンギ車をシリコンで製造することで、量産においても常に最適かつ同一形状を実現している。大きめのロック用の歯はレバーと噛み合い、それ以外の標準的な形状の歯は常にふたつのガンギ車同士を噛み合わせておくために使われる。 この噛み合わせによって、ガンギ車同士が互いにロックし合い、衝撃に対する耐性が生まれる。しかも、すべての歯がまったく同じ形状であることから、製造面でも大きな利点がある。 このようにして実現されたロレックスのダイナパルス エスケープメントは、予想をはるかに超える耐久性と工業的スケーラビリティ、そしてコンパクトなサイズを兼ね備えている。 搭載される新キャリバー7135は、まさに機械工学の結晶ともいえる存在だ。新たなダイレクトインパルス エスケープメントを、初めから工業レベルで量産化する。そんな芸当ができるのは、ロレックス以外にない。

ダイナパルス エスケープメントは、1789年にアブラアン-ルイ・ブレゲが発明したナチュラル エスケープメントに着想を得ているものの、技術的にはまったく異なる構造である。 見た目こそナチュラル エスケープメントに似ているが、ロレックスのふたつのガンギ車は機能面で非対称に設計されている。ふたつのうち一方だけが、テンプの半振動ごとに直接インパルス(動力)を与え、もう一方は同期を維持するために追従するだけで、毎振動でテンプと直接かかわることはない。 一方、ナチュラル エスケープメントでは、両方のガンギ車が交互にテンプに直接インパルスを与える。つまりダイナパルス エスケープメントは、ブレゲの原理を踏まえつつ、ロレックスが独自に再構築した新たな脱進機構なのである。

ガンギ車にシリコンを採用した意義は、いくら強調してもしすぎることはない。 ロレックスのクロナジーシステムでは、レバーとガンギ車の両方がニッケル・リン合金製であり、これはオメガがコーアクシャル脱進機においてガンギ車やパレットフォークに使用している素材と同じである。 一方、ダイナパルス エスケープメントでは、ロレックスはガンギ車だけでなく、可動式のロック機構も含めて全面的にシリコンを採用している。 ロレックスが使用するシリコン素材は自己潤滑性、耐磁性、耐熱性、硬度、軽量性、そして耐衝撃性に優れており、まさに脱進機に理想的な特性をすべて備えているのだ。

ロレックス シロキシ・ヘアスプリング(2014年)

この素材はすでに2014年に登場したシロキシ・ヒゲゼンマイで知られており、もちろん今回のランドドゥエラーにも採用されている。シロキシはもともと、ロレックスの小径モデルから導入が始まり、近年では一部のデイトジャストやオイスターパーペチュアル、さらにヨットマスター37やパーペチュアル 1908などにも搭載されるようになってきた。いかにもロレックスらしい慎重な展開だが、2023年に発表された1908への採用は、ロレックスがシリコン素材に対してより積極的になってきた兆候であり、今回のランドドゥエラーにつながる布石だったとも言える。とはいえ、まったく新しい脱進機構が登場するとは、誰も予想していなかった。

2023年にパーペチュアル 1908に初めて搭載されたCal.7140は、本日発表されたランドドゥエラー以前のロレックスにおいて、もっとも高精度なムーブメントのひとつであり、比較対象として非常に有効な存在である。 1908のCal.7140とランドドゥエラーのCal.7135は、見た目の構造や仕上げこそ似ているが、この2年のあいだに技術的な飛躍があったことは明白だ。 Cal.7140は、まずCOSCによって未ケース状態で-4/+6秒/日の基準をクリアし、さらにロレックスの社内基準に基づいて完成品の状態で-2/+2秒/日を達成しており、高精度クロノメーター認定を受けている。ランドドゥエラーも同様に、この認定を受けている。 Cal.7140は、クロナジー エスケープメント、シロキシ・ヒゲゼンマイ、パラフレックス耐震装置という3つの最新技術を初めてすべて組み合わせたムーブメントである。 対するランドドゥエラーのCal.7135は、シロキシ、パラフレックスに加え、ロレックス初の自社開発による脱進機ダイナパルス エスケープメントを搭載している点で大きく異なる。 Cal.7140の振動数は4Hz(2万8800振動/時)だが、ランドドゥエラーはロレックス初となる機械式の高振動キャリバーであり、3万6000振動/時(5Hz)で動作する。 なぜ3万6000振動/時なのか? 理由なんて必要ない。やるべきことだからやった。それがロレックスなのだ。

ショパールは人気のアルパイン イーグルコレクションをさらに発展させました。

本作は、ショパールを象徴するルーセントスティール™と18Kエシカルイエローゴールドを初めて組み合わせたモデルであり、33mm径という洗練されたサイズ感でありながら、コレクション特有のスポーティかつエレガントな魅力をしっかりと備えています。

アルパイン イーグルコレクションは、カール-フリードリッヒ・ショイフレ(Karl-Friedrich Scheufele)氏が1970年代後半に初めて手がけた、サンモリッツウォッチを再解釈したものです。ショイフレ家3世代にわたって発展してきたこのコレクションは、自然、特にアルプスに生息するイーグル(ワシ)からインスピレーションを得ており、テクスチャード加工のダイヤルや、秒針に配されたイーグルの羽根を模したカウンターウェイトなど、細部にその影響が表れています。

細部にまでこだわったケースは、ラウンドシェイプに加えて特徴的な立体的フランク(側面)を備えています。ショパール独自の合金であるルーセントスティール™を採用しており、高い輝きを誇ると同時に、80%以上のリサイクル素材を含有しています。これに、ベゼル、リューズ、ブレスレット中央にあしらわれたエシカルな18KYGが美しく組み合わされています。リューズにはコンパスローズの刻印が施されるほか、8つの機能的なインデックス付きスクリューも固定されています。これにより50mの防水性能も確保されます。

ヴァルスグレーという名のダイヤルは、伝統的なアルプスの家々に用いられる、クォーツァイトの石板が放つ銀色の輝きを想起させます。イーグルの虹彩に着想を得た放射状のエンボス模様が、ダイナミックで表情豊かなテクスチャーを生み出しています。インデックスにはダイヤモンドをあしらい、3・6・9・12時位置にはゴールドのローマン数字を配置。ゴールドカラーにスーパールミノバを施した針と相まって、エレガントで視認性の高い仕上がりです。さらに秒針は、イーグルの羽根を模したカウンターウェイトを備えています。

このタイムピースは、ショパールの自社製Cal.Chopard 09.01-Cを搭載しています。自動巻きの機械式ムーブメントで、シースルーバックをとおしてその姿を鑑賞することができるものです。直径わずか20.4mmという、現市場でも屈指のコンパクトサイズでありながら、159個もの部品で構成され、2万5200振動/時で駆動、約42時間のパワーリザーブを実現しています。サイズに関わらず高いウォッチメイキング技術を追求する、ショパールの姿勢を体現したムーブメントです。

我々の考え
親しい友人と最近、アルパイン イーグルコレクションについて話していたので、この新作が手元に届いたとき、当然ながらショパールが次にどんな方向へ進んだのか興味をそそられました。確かに、クラフツマンシップは申し分なく素晴らしいのですが、私自身はどちらかというと、より伝統的なアルパイン イーグルの美学に引かれます。ダイヤモンドのインデックスは、コレクションのアイデンティティである荒々しいアルプスのインスピレーションとは少しちぐはぐに感じられますし、個人的に気に入っていた4時30分位置の日付表示がなくなっているのも、どこか物足りなく感じました。

これらのラグジュアリーな装飾に加え、33mmという小振りなケースサイズも相まって、スペックこそ十分ながら純粋なスポーツウォッチとは言い難い印象を受けます。ただ呼び方はさておき、このモデルがジュエリー寄りの新たな路線を切り拓こうとしている点には拍手を送りたいと思います。スキーと同じくらい、アフターファイブのひとときを楽しむ人々にとって理想的なパートナーとなるでしょう。

今後数日間にわたり、Watches & Wondersの最新情報をお届けしますので、ぜひご注目ください。新作情報はすべて、こちらからご覧いただけます。

基本情報
ブランド: ショパール(ショパール)
モデル名: アルパイン イーグル 33(Alpine Eagle 33)
型番: 298617-4001

直径: 33mm
厚さ: 7.95mm
ケース素材: ルーセントスティール™、18Kエシカルイエローゴールドのベゼル
文字盤: ワシの虹彩から着想を得た放射状パターンがエンボス加工された“ヴァルスグレー”のブラス製文字盤
インデックス: アプライドとダイヤモンド
夜光: あり
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ルーセントスティール™製ブレスレット(センターのコマに18Kエシカルイエローゴールド)

ムーブメント情報
キャリバー: Chopard 09.01-C
機能: 時・分表示、センターセコンド(ストップセコンド機能)
直径: 20.40mm
厚さ: 3.65mm
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万5200振動/時(3.5Hz)
石数: 27
クロノメーター: あり、COSC

価格 & 発売時期
価格: 339万9000円(税込予価)
発売時期: 発売時期未定
限定: なし

アンテプリマ(ANTEPRIMA)から、「ポケモン」とのコラボレーションアイテムが登場。

ピカチュウやイーブイデザインのワイヤーバッグ
バッグ 94,600円(ピカチュウ)、チャーム 38,500円
バッグ 94,600円(ピカチュウ)、チャーム 38,500円
アンテプリマとポケモンの初となるコラボレーション「ポケモン コレクション(POKÉMON COLLECTION)」では、アンテプリマを代表するワイヤーバッグがピカチュウ、イーブイ、コダック、プリン、メタモンデザインとなってラインナップ。アイコニックな「スタンダード」シリーズにジッパーを付けた「スタンダード Z」をベースに、チェーンやツイストを組み合わせたワイヤーコードストラップを合わせた。

バッグ 94,600円(イーブイ)
バッグ 94,600円(イーブイ)
ピカチュウは、バッグのストラップに赤い頬を連想させる赤を取り入れ、ピカチュウのエネルギーを表現。イーブイのふわふわのしっぽと首元の毛並みの愛らしさは、クリーム色で表した。

バッグ 94,600円 (左から)ピカチュウ、イーブイ、コダック、プリン、メタモン
バッグ 94,600円
(左から)ピカチュウ、イーブイ、コダック、プリン、メタモン
いつも頭痛に悩まされているコダックは、どこか抜けた愛嬌のある表情を全面にオン。また、まん丸キュートな瞳と同じカラーのブルーをストラップに取り入れたプリン、くねくねと柔らかなラインと流れるようなフォルムで忠実に再現したメタモンといったように、それぞれの特徴をバッグ全体を通して表現している。

コダックやモンスターボールのチャームも
チャーム 38,500円
チャーム 38,500円
バッグとあわせて、立体的に編み上げたチャームも要チェック。コダック、プリン、メタモン、モンスターボールをモチーフにした4種が展開される。

【詳細】
「ポケモン コレクション」
発売日:2025年8月1日(金)
販売場所:全国のアンテプリマ/ワイヤーバッグショップ、ザ・シェルター トーキョー 東急プラザ表参道「オモカド」1F 期間限定ショップ
価格:
・バッグ 94,600円
・チャーム 38,500円
※購入はひとり同型(同品番)1点まで。
※購入制限については、事前の告知なく変更する場合あり。
※電話での注文・取り置き・他店舗への取り寄せは不可。
※店舗混雑状況により、入店制限を実施。
※入店整理券の抽選や整理券配布など、各店舗によって販売方法が異なる可能性あり。
※購入点数制限、取り置き、電話注文、代引配送は、一定期間経過後に予告なく解除する場合あり。

【問い合わせ先】
株式会社アンテプリマジャパン
TEL:0120-03-6962

ケンゾー(KENZO)の2025年秋冬ウィメンズコレクションを紹介。

賑やかなウサギたちがアクセント
ケンゾー 2025年秋冬ウィメンズコレクション、ウサギの遊び心と無邪気なフェミニティ|写真13
2021年よりアーティスティック・ディレクターを務めるNIGOにとって、初のウィメンズコレクションとなる今回は、“恋するウサギ”たちの暮らしを思わせる、茶目っ気たっぷりのムードが漂う。登場するのは、創業者・高田賢三のスケッチに着想を得た2匹のキャラクター、恋に夢中なピンクの雄ウサギ「Lucky Me?」と、いたずら好きなブルーの雌ウサギ「Lucky You!」だ。スクリーンプリントや刺繍といったディテールを通して各所に現れ、ケンゾーらしい大胆なグラフィックを象徴する存在となっている。

マニッシュとフェミニンのバランス
ケンゾー 2025年秋冬ウィメンズコレクション、ウサギの遊び心と無邪気なフェミニティ|写真11
コレクションの中核をなしていたのは、マニッシュなテーラリングとフェミニンなディテールが交錯するスタイルだ。サヴィル・ロウにあるNIGOのテーラリングコレクションに着想を得た、ショールカラーのブレザーや羽織のような“着物ジャケット”は、ゆったりとしたサイズ感で展開。シアー素材やパステルカラーのバルーンパンツと繰り返しコーディネートされ、マスキュリンなジャケットと軽やかなボトムスが織りなす絶妙なバランスを楽しんだ。

センシュアルかつ無邪気な女性らしさ
ケンゾー 2025年秋冬ウィメンズコレクション、ウサギの遊び心と無邪気なフェミニティ|写真19
肩紐を落としてスタイリングされた、ランジェリーディテールのキャミソールも印象的。シルク素材のほか、アーカイブの水着から採用したカラフルな花柄、さらにはブロックチェックや星模様などテキスタイルのバリエーションも豊富だ。センシュアルな1着に、どこか無邪気でポップな愛嬌を宿している。

ストリートな抜け感
ケンゾー 2025年秋冬ウィメンズコレクション、ウサギの遊び心と無邪気なフェミニティ|写真23
お腹をチラリと覗かせるグラフィックTシャツをはじめ、NIGOならではのストリートなエッセンスも顕在。カーキのボンバージャケットや、肩を落としたライムグリーンのダッフルパーカーは、クロップド丈感で登場し、衝動的なカスタマイズを思わせる佇まいに。もふもふのウサギスリッパなど、脱力感のあるお茶目なピースも加わった。

ウサギ尽くしでフィナーレへ
ケンゾー 2025年秋冬ウィメンズコレクション、ウサギの遊び心と無邪気なフェミニティ|写真26
ウサギの「Lucky Me?」と「Lucky You!」を遊び心たっぷりに散りばめたルックは、ショー終盤を彩っている。ウサギのぬいぐるみで作られたベストや、“ウサ耳”付きのフードブルゾン、ウサギが巻き付くようなマフラーなど、ファンタジックな世界観へと引き込んだ。